クロス専門店「くるすや」宝石のトリビア−#9
5月の誕生石 エメラルド
エメラルド Emerald ※英・米・日とも、5月の誕生石
和名:緑玉(りょくぎょく)、緑柱石(りょくちゅうせき)
語源:みどりの石の総称、スマラグダス(smaragdus)から。
宝石のことば:幸運、幸福、不朽不滅、幸せな妻、貞節、潔白、清潔、恋が実る、平和、繁栄
種類:ベリル(緑柱石)の一種。さまざまな色のうち、美しい緑色のものを「エメラルド」、水色〜空色のものを「アクアマリン」、それ以外のものを「ベリル」とよぶ。

身体的には・・古代より「眼によい石」として有名です。疲れ眼をいやし、視力を回復させるといわれます。
精神的には・・たかぶった気持をしずめて落ちつかせ、記憶力・理解力・意志の強さをたかめるといわれます。

エメラルドは、アメリカ大陸発見後、スペイン人がペルーのエメラルドを欧州に持ちこんでから出回るようになったもので、それまでの欧州では、ほんもののエメラルドは、めったにお目にかかれないものでした。
生い茂る葉を連想させるみどり〜青い石は、エメラルドにかぎらず、「春・豊穣・自然の生命力」の象徴とされました。
エメラルドは“純潔”のシンボルとして「持ちぬしが浮気をすると、2つに割れて砕け散る」という言い伝えがあります。
また、持ちぬしが恋人から裏切られそうになると、青白く変るといわれます。
身につけると、暴行されて処女を失う災難からも守ってくれるといわれます。
また反対に、媚薬的な効果をもつ「魔性の石」ともいわれます。
エメラルドは、受難に耐え、誘惑にうち勝つ性質をあらわす石でもあります。
そのため「人前でスピーチをするときの緊張をほぐす」「裁判に勝つおまもり」などともいわれます。

【ローマ 古代】
ローマ神話では、庭園・耕作地をまもる自然の女神ヴィーナスに捧げられた石でした。
この時代すでに、エメラルドは眼の疲れをいやし、視力をよくするといわれていました。あの皇帝ネロは、エメラルドでサングラスを作ったとか、大きなエメラルドに、剣闘士の戦いをうつして楽しんだなどといわれます。
紀元1世紀ローマの博物誌家プリニウスによると、こんな伝説もあります。
「キプロス島の王族の墓には、エメラルドを眼に嵌めこんだ獅子像があった。
しかし、そのあまりにも耀きわたる眼力のおかげで、近海のマグロがみんな逃げてしまい、漁師の嘆願により、この像の眼はべつの石に変えられた」とあります・・?? すごい眼力だったんですね・・。

【欧州 中世】
ルビーのような赤い石を総称して、カーバンクル(carbuncle)とよんだように、エメラルドのようなみどりの石は総称して、スマラグダス(smaragdus)とよばれました。
エメラルドは、するどい智恵・神学の知識をさずけ、富をもたらす石といわれました。
「舌の下にエメラルドを入れておくと、予知能力がするどくなる」「口にふくむと、血止めとなる」「首にぶらさげると、てんかんの発作をふせぐ」「妊婦の腿に結びつけるか、子宮の上に置くと、赤ん坊の誕生を早めたり遅くしたりできる」「あらゆる毒の解毒剤となる」などの言い伝えもあったのです。
名高いダンテ『神曲』には、ダンテの永遠の恋人ベアトリーチェは「エメラルドの眼をもっていた」と表現されています。

【インド】
エメラルドは、あらゆる毒の解毒剤、下剤、消化剤とされました。また、天然の精神安定剤ともいわれ、浄罪の力、戦さに勝利をもたらす力もあるとされました。
とくに神像におそなえすると、魂に真の智恵と、永遠の生命をあたえる霊験あらたかと信じられました。

【中近東】
エメラルドは心を満たし、活気をとりもどさせる石といわれました。
この地でもエメラルドは「眼によい石」と信じられ、眼に入ったゴミをとりのぞくとき、粉末にして用いられました。
また、全身あらゆるところの鎮痛、血止め効果、黄疸、肝臓、結石、ハンセン氏病、そして黒死病(ペスト)予防にも効くと信じられていたのです。

【エジプト 古代】
エジプトでは、エメラルドは「愛する者の石」とよばれ、女神イシスと、その息子ホルスに捧げられる聖なる石でした。イシスは「エメラルドの夫人」、ホルスは「エメラルドの王子」という異名をもちます。
女王クレオパトラは、彼女の名にちなんだエメラルドの鉱山をもち、ここから産出された石で身を飾ったといわれます。

【キリスト教】
エメラルドは紀元前4〜5世紀からすでに各地で珍重されていたため、初期のキリスト教世界では「異教の神の魔性の石」として忌み嫌われていたといいます。
『失楽園』で有名な堕天使・ルシフェルが天から落ちるとき、「エメラルドの大きな冠を地上にもたらした」という伝説があるのは、このせいかもしれません。
しかしやがて、この冠はシヴァの女王の手にわたり、ソロモン王へ贈られます。王はこの冠から、杯を作らせました。
これが有名な“聖杯”(キリストが最後の晩餐で用い、十字架上のキリストの血をヨセフがこれで受けたという杯)伝説に発展します。
その後エメラルドは、「信仰・清純・貞節」の象徴といわれ、「法王の宝石」とされました。
ヨハネ『黙示録』には、神の玉座は「エメラルドのような虹色に耀いていた」とあります。

【イスラム教】
イスラム教世界では、天は七つの層をもつといわれ、第一層がエメラルドで出来ていたといわれます。
そして最上階、神の玉座には「天の書板」とよばれる、コーランが書かれた板が保管されているのですが、この板もまた、エメラルドで出来ているといわれます。このためか、みどりはイスラム教圏ではとくに神聖な色とされ、モスク(寺院)の屋根、国旗などに、緑色がよく用いられます。
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